東京地方裁判所 昭和32年(行)86号 判決 1959年8月20日
原告 練木宇兵衛
被告 国
主文
本件訴を却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一請求の趣旨
原告代理人は、
「(一) 大蔵省管財局特殊清算課が、昭和三〇年六月一〇日に当時の閉鎖機関株式会社台湾銀行に対してした原告の同銀行スマラン支店に対する預金の払戻については、南方開発金庫券の換算率(六ギルダーを一円とする割合)を適用する旨の指示は無効であることを確認する。
(二) 被告は、日本貿易信用株式会社に対し、同会社が原告に対して金二五二、五四一円及びこれに対する昭和二二年一月一月から支払済に致るまで年五分の割合による金員の支払をするよう指令せよ。
(三) 訴訟費用は被告の負担とする」
との判決を求めた。
第二請求の趣旨に対する答弁
被告代理人は、主文と同旨の判決を求め、予備的に「原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」
との判決を求めた。
第三請求の原因
原告代理人は、請求の原因として次のとおり陳述した。
一 原告は、もとオランダ領東印度ジヤワ、チエリボン市において、昭和一六年一二月八日のいわゆる大平洋戦争のぼつ発まで玩具雑貨類の輸入卸業を経営していたものであるが、同市在住当時、当時の台湾銀行(終戦後昭和二二年勅令第七四号閉鎖機関令にもとずく閉鎖機関の指定によつて閉鎖機関株式会社台湾銀行と称し、更に同令第一九条の三によつて日本貿易信用株式会社が設立され、同銀行の債権債務を全部承継した。以下単に台湾銀行という。)スマラン支店に対し、七、九九九ギルダー四〇セントを預金していた。しかして、昭和二九年の閉鎖機関令の一部を改正する法律(昭和二九年法律第一〇五号)の施行によつて在外銀行の預金は残存財産の範囲内で払い戻されることとなつたが、台湾銀行は預金債務額の集計を待たず債権確認と同時に預金全額を支払い、かつそれに対する法定の利息を加算する旨公表し、同銀行特殊清算人上山英三は、前記の法規にもとずき数回に亘つて新聞紙上に公告し、債権の申立を促したので、原告は、昭和一六年一〇月までに前記金員を台湾銀行スマラン支店に預金した旨申し立てたところ、右特殊清算人は、昭和三〇年六月二五日付で右全額についてこれを認めたので、同日原告の台湾銀行に対する預金債権は確定した。
二 しかして、昭和三〇年六月一〇日、大蔵省管財局特殊清算課は、原告の預金したギルダー貨については、戦時中発行された南方開発金庫券(昭和一七年三月、日本軍がジヤワを占領した際、現地通貨と等価値で流通させた通貨)の換算率を適用し、六ギルダーを邦貨一円と換算してその割合で支払うよう台湾銀行に対して指示した。しかしながら、右の指示は、次のとおり、昭和二九年法律第一〇五号によつて改正された閉鎖機関令第一一条の三第三項前段の規定に違反して違法であるが、そのかしは重大かつ明白であるから無効である。
すなわち、原告の預金したギルダー貨は、預金当時ルビア貨と同一価値をもつて流通していたのであつて、このことは大平洋戦争ぼつ発前はギルダーもルピア貨と同一のものとして取り扱われ、たとえば邦人間でギルダーと記入して支払をしても、ルピアを記入した領収書を発行し、又ルピア貨を送金しても同額のギルダー貨を領収した旨の領収書を送つて何らさしつかえなかつたこと、両通貨とも戦前戦後を通じて国際通貨基金に登録された国際間公認の通貨であること、昭和二四年一一月、当時の大蔵省引揚援護庁が全国市町村に対して通知した引揚者所持の外貨に対する換算率において、ギルダー貨については同月当時の為替相場を通用していることなどによつて明らかである。しかして、昭和二四年四月二五日、大蔵省告示第二三七号は、一般的に外国為替相場について規定しているので、右ギルダー貨は、前掲閉鎖機関令第一一条の三第三項前段所定の「外国為替相場が定められているものに該当し、原告の預金債権確定当時のルピアの為替相場は、アメリカ一ドルに対し一、一四〇ルピアであつたのであるから、台湾銀行としては、右換算率から更にアメリカ一ドルにつき邦貨三六〇円の割合によつて算出される邦貨二五二、五四一円に法定の利息を加算して支払うべきであつたのである。
なお、昭和二九年六月一二日の大蔵省告示第九四二号は、ギルダー貨についての換算率を定めているが、原告の預金したギルダー貨は、大平洋戦争ぼつ発前のものであり、戦時中は一度も引出したことがないので、戦時中のギルダー貨、したがつて南発券とは、本質的に異るのであり、かかるギルダー貨は右告示の予想していないものというべきである。よつて、請求の趣旨第一項のとおり、前記指示が無効であることの確認を求める。
三 しかして、台湾銀行は、同銀行が預金者に支払うべき預金については、預金額に対する年五分の割合による金員を利息として昭和二二年一月一日以降支払日までの期間に応じて支払う旨を約したので、台湾銀行の債権債務を承継した日本貿易信用株式会社は、前預金二五二、五四一円に右利息を付加して支払うべき義務があるものというべく、請求の趣旨第二項のとおり、被告が同会社に対してその旨の指令をすることを求める。
第四被告の答弁及び主張
一 本案前の抗弁
(一) 請求の趣旨第一項の請求について。
原告が無効確認を求める行政処分は存在しない。すなわち、大蔵省管財局特殊清算課が請求の趣旨第一項記載のような指示をしたことはない。もつとも、昭和三〇年六月一〇日、当時東京都中央区日本橋所在の在外活動閉鎖機関特殊清算人事務所において、閉鎖機関の指定を受けた金融機関の外地預送金債務支払担当者の連絡会議が開催され、台湾銀行からも担当者が出席し、大蔵省管財局特殊清算課所属の今野、阪上両大蔵事務官が列席したが、その席上両事務官が大蔵省の見解として元オランダ領東印度地域の通貨であつたギルダー表示の預金に対する換算率については昭和二九年大蔵省告示第九四二号「閉鎖機関令第一一条の三第三項の外国為替相場が定められていない外貨の換算率について」のうち「閉鎖機関令第二条第二項第四号若しくは第六号に規定する債務又は第七号に規定する債権について適用する換算率表」を適用すべきである旨を述べたことはあるが、これはいわば法令の解釈適用に関する見解にすぎず、かかる見解を述べても行政処分とはならない。したがつて、請求の趣旨第一項の請求は不適法である。
(二) 請求の趣旨第二項の請求について。
請求の趣旨第二項は、行政庁に対して特定の処分をなすべきことを命ずる判決を求めるものであるから不適法である。
二 本案の答弁及び主張
(一) 請求原因第一項記載の事実のうち、原告主張の法令が制定されたことは認めるが、その余の事実は不知、第二項記載の事実のうち、ギルダー貨の換算率の適用について大蔵省管財局特殊清算課の係官が原告主張のような見解を表明したことは認めるが、その余の事実は否認する。
(二) 仮に原告が台湾銀行に対して、七、九九九ギルダーの預金債権を有しているとしても、右ギルダー貨については六ギルダーにつき本邦通貨一円の換算率が適用されるべきであるとの大蔵省管財局特殊清算課の見解は次のとおり正当である。
すなわち、台湾銀行スマラン支店取扱にかかる原告に対する預金債務七、九九九ギルダーは、閉鎖機関令第二条第二項第四号に該当するので、同項により「本邦内に在る財産」とみなされる同銀行の特殊清算の目的たる債務であるが、その換算率については、同令第一一条の三の適用がある。しかして、本件債務については同条第一、二項に換算率が掲げられているので、同条第三項の適用があり、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二四年法律第二二八号)第七条第一項又は第二項の規定により当該外貨につき外国為替相場が定められているものについてはこれによることとなるが、ギルダー貨については外国為替相場が定められていない(原告主張の昭和二四年四月二五日大蔵省告示第二三七号は、外国為替管理法にもとずく外国為替相場取極に関する省令〔昭和一六年大蔵省令第七九号〕第一条によりなされた告示であつて、外国為替管理法中外国為替相場の取極にかかる規定の部分は、昭和二四年一二月一日限り廃止された〔外国為替及び外国貿易管理法附則第二項、外国為替及び外国貿易管理法の一部の施行期日を定める政令第四項〕ので、右告示も当然その効力を失つたのであり、のみならず閉鎖機関令第一一条の三第三項にいわゆる外国為替相場の定めは、昭和二四年大蔵省告示第九〇七号「基準外国為替相場及び裁定為替相場を定める告示」を以てなされているのみであるが、右告示には原告の主張するルピア貨、ギルダーについてはその外国為替相場は定められていない。)ので、同条第二項の趣旨にしたがい、大蔵大臣の定める換算率によることとなるが、右大蔵大臣の定めは、昭和二九年大蔵省告示第九四二号「閉鎖機関令第一一条の三第三項の外国為替相場が定められていない外貨の換算率について」を以てなされ、その中に「閉鎖機関令第二条第二項第四号若しくは第六号に規定する義務又は第七号に規定する債権について適用する換算率表」として外貨表示(グルデン〔ギルダーのこと〕、ルピーその他)軍用手票又は南方開発金庫券についての各換算率が定められ、グルデン表示のそれは六グルデンにつき本邦通貨一円とされている。(原告は本件預金債権は戦前の預金債権であるから、軍用手票又は南方開発金庫券と同一視して右換算率表を適用すべきではないと主張するが、ギルダー貨と右軍用手票等は現地において同等の価値をもつて流通していたものであるから、両者を同一に取扱うのは何ら不当ではない。)したがつて、原告の本件預金債権七、九九九ギルダーについて右換算率(六ギルダーにつき本邦通貨一円)を適用すべきであるとする大蔵省管財局特殊清算課の見解は正当である。
(三) 以上のとおりであるから、原告の請求はいずれにしても理由がない。
第五本案前の抗弁に対する原告の主張
一 請求の趣旨第一項の請求について。
昭和三〇年六月一〇日に当時の東京都中央区日本橋所在在外活動閉鎖機関特殊清算人事務所において、閉鎖機関である金融機関の外地預金債務支払担当者の連絡会議が開催された際に、列席した大蔵省管財局特殊清算課所属の今野、阪上両事務官が請求の趣旨第一項のような指示をしたことは被告の自認するところであつて、右連絡会議は公的な会合でありしかも右両事務官によつて発言された内容は、その個人的見解ではなく、大蔵省の見解として開陳されたものであるから明らかに大蔵省としての指示であり、その結果原告の台湾銀行に対する預金の払戻について南方開発金庫券の換算率を適用することが決定されたのである。しかして、右の指示がなされた結果、台湾銀行はこれに拘束され、原告はこれによつて法律上の不利益を受けるのであるから、右の指示は少くとも行政についてなされた公の意思表示に準ずる精神作用の表示である。したがつて、行政事件訴訟特例法第一条にいう行政庁の(違法な)処分に該当するというべきである。仮に右の指示が単なる通知行為にすぎないとしても、それによつて国民の権利義務に関する法律上の効果が及ぶ場合であり、それが違法であることを主張して救済を求める必要があるのであるから、矢張り行政訴訟の対象になりうることが明らかである。
二 請求の趣旨第二項の請求について。
右請求は行政事件訴訟特例法第六条第一項に規定する関連請求であるから、何ち不適法ではない。しかして右規定の適用についてはいわゆる抗告訴訟の場合と無効確認訴訟の場合とで区別すべき理由はない。
第六証拠関係<省略>
理由
本訴各請求が適法であるか否かについて判断しよう。
一 請求の趣旨第一項の請求について。
請求の趣旨第一項の請求は、要するに、昭和三〇年六月一〇日、当時東京都中央区日本橋にあつた在外活動閉鎖機関特殊清算人事務所において、閉鎖機関令にもとずいて閉鎖機関の指定を受けた金融機関の外地預送金債務支払担当者の連絡会議が開催された際、台湾銀行からも担当者が出席したが、その席上、列席した大蔵省管財局特殊清算課所属の今野、阪上両大蔵事務官が、大蔵省の見解として、元オランダ領東印度地域の通貨であつたギルダー貨表示の預金の換算率については、昭和二九年大蔵省告示第九四二号「閉鎖機関令第一一条の三第三項の外国為替相場が定められていない外貨の換算率について」のうち、「閉鎖機関令第二条第二項第四号若しくは第六号に規定する債務又は第七号に規定する債務について適用する換算率表」を適用すべき旨を発言(原告は指示と称する。)したことをもつて、行政庁である大蔵省のなした行政処分とみなし、被告に対してその無効確認を求めるものであることは原告の主張自体に照らして明らかである。
一般に行政事件訴訟において、無効確認の対象となりうる行政処分は、それがその処分の当事者又は第三者者の権利義務に直接法律上の効果を及ぼすようなものに限られると解すべきであるから、前記大蔵事務官によつてなされた前記のような発言(原告のいう指示)が果してこのような行政処分に該当するか否かについて考えてみよう。ここでまず、右のような発言がなされるに至つたいきさつについて考えるに、閉鎖機関令にもとずいて閉鎖機関の指定を受けた金融機関の財産は、本邦外にあるものでも、特定のものについては本邦内にある財産とみなされて特殊清算の目的とされたのであるが、原告の台湾銀行(スマラン支店取扱)に対する七、九九九ギルダーの預金債権等の預金債権は、後に昭和二九年法律第一〇五号によつて加えられた閉鎖機関令第二条第二項第四号にもとずいて特殊清算の目的とされるに至つた。しかして、同令第一一条の三第三項は、右預金債権の本邦通貨への換算率について、同項第二項に換算率が定められている外貨以外のものは外国為替及び外国貿易管理法(昭和二四年法律第二二八号、以下外為法という。)第七条第一項又は第二項の規定により当該外貨につき外国為替相場が定められているものについてはこれに、それが定められていないものについて大蔵大臣の定める換算率によるものと規定されている。しかして右外為法にもとずく外国為替相場は、昭和二四年大蔵省告示第九七〇号「基準外国為替相場及び裁定為替相場を定める告示」よつて定められ、他方右大蔵大臣の定めは昭和二九年大蔵省告示第九四二号「閉鎖機関令第一一条の三第三項の外国為替相場が定められていない外貨の換算率について」によつて定められたが、成立に争のない甲第一号証の一、二、第二号証ないし第五号証によると、原告の有する本件預金債権のように、ギルダー貨表示の債権であつてしかも戦前に預託したものであり戦時中に受払をしなかつたもの(いわゆる戦前ギルダー貨表示のもの)については、戦時中日本軍によりギルダー貨を表示した南方開発金庫券が発行された以後に流通したギルダー貨と同一の換算率を適用すべきか、すなわち大蔵省告示第九四二号に定めるグルデン(ギルダーと同意)貨表示の南方関発金庫券の換算率をそのまま適用すべきか、あるいは別個の換算率を適用すべきかについて、台湾銀行特殊清算人事務所も疑問を抱き、大蔵省当局の見解を照会していたことが認められるのであるが、たまたま前記のとおり連絡会議が開催された際に列席していた大蔵省管財局特殊清算課所属の大蔵事務官が、大蔵省の見解としてて、前述のような見解を表明したことは当事者間に争のないところである。しかして、右のような公的な性格を有する会合において、大蔵事務官が大蔵省の見解として前記のような見解を表明したのは、原告のいうように閉鎖機関の特殊清算人に対する一種の指示ともいうことができるかも知れないが、それそも閉鎖機関の特殊清算人が閉鎖機関の財産についての特殊清算手続として債権者に対する支払をするにつき、いかなる外貨の換算率を適用すべきかは、閉鎖機関令又はこれによつて委任された大蔵大臣の決定及びその告示によつて定められている(閉鎖機関令第一一条の三)筈である。したがつて、台湾銀行の特殊清算人事務所において原告の預金等に関する換算率の適用について疑義を抱いたとしても、それは法規の解釈が分明でなかつたということにすぎないし、また大蔵事務官がこれに関して大蔵省の見解として前記のような発言をしたとしても、それは法規の解釈について一つの見解を表明したにすぎず、たとえそれが影響力の大きい指導的な見解であるとしても、これによつて原告等第三者の権利義務に直接法律上の効果を発生せしめたわけではない。もつとも、閉鎖機関令第一〇条の三は、特殊清算人は特殊清算に関して何時でも大蔵大臣の指示を求めることができるし、その結果なされた指示にもとずいてなした行為について、特殊清算人は責任を負わない旨定めており、前記のような機会になされた大蔵事務官の発言がここにいう大蔵大臣の指示に該当する解し得る可能性がないではない(前記連絡会議がいかなる趣旨のもとに召集され、大蔵事務官がいかなる資格においていかなる権限をもつて出席したものであるかは明らかでないので、これを断定的に肯定することはできない。)が、右規定は、大蔵大臣の指示に第三者の法律上の地位に直接影響を及ぼすような効果を与えたものではなく、単にこれにもとずいて行為をなした特殊清算人に免責の効果を与えたにすぎないと解すべきであるから、仮に本件における大蔵事務官の発言が右の指示に該当するとしても、直ちに行政処分たる性質を持つものであるとは解せられない。また台湾銀行が右大蔵省の見解にもとずく換算率を適用して預金の支払をしたとしても、結果的にそのような影響力を持つていたからといつて右発言(指示)を行政処分と解することはできない。したがつて、原告が無効確認を求めているものは、結局において無効確認訴訟の目的たり得る行政処分ではないのであるから、請求の趣旨第一項の請求は不適法であると解さざるを得ない。
二 請求の趣旨第二項の請求について。
請求の趣旨第二項の請求は、要するに、被告に対し、日本貿易信用株式会社に対して原告に一定額の金員の支払いをなすべき旨の指令をすることを命ずる裁判を求めるものである。しかして、原告がこのような指令をもつて行政庁が公権力の行使としてなす行政処分であるとしていることは原告の主張自体からうかがわれるので一般にかように積極的に行政権の発動をうながすような請求が許されるかどうかの問題につながるわけであるが、元来特定の行政処分をするかしないかはまず行政機関である行政庁の判断に委ねられており、裁判所が行政庁に対して行政処分をなすべきことを命ずることは、三権分立の建前からいつて法律に特別の規定が存在しない限り許されない(若しかような請求を認めるとすれば、裁判所が行政権を行使するのと同様な結果を生ずる。)ところであると解するのが相当である。しかも本項の請求は、第一項の請求と同様に国を被告とするものであるから、仮に行政庁に対して行政処分をなすべきことを求める請求を違法な行政処分の取消の請求(原則として当該行政処分をなした行政庁のみが被告適格を有する。)に準ずるものとしてその適法性を認める考え方をとるにしても、被告適格を有しないものを被告としている違法があるというべく、右請求は不適法であるといわざるを得ない。
以上のとおりでありであつて、本訴各請求はいずれも不適法であるから、いずれもこれを却下することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第一八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 浅沼武 菅野啓蔵 小中信幸)